森山中教習所 小林有吾 2023.11.24 周囲の人や物事に無関心、無感動な青年、佐藤清高くん。ひょんな事から、ロハで自動車教習所に通える事になる。しかし、その教習所は未公認教習所だった。教習をつうじて周りの少し危ない連中とふれあい、清高くんは変わっていくのか、いかないのか! レビューを見る 購入・お申し込みはこちら
山と田んぼに囲まれた田舎の大学生・清高。田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。 どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。 ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。フリーハンドを多用した絵も味わい深い。この人のマンガもっと読みたい。
ある夏休み、免許が取れる確証のない教習所に何となく通う事になった飄々とした主人公と、そこで共に過ごした同じく飄々とした人々との日々の話。 朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。 切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。 実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。買っといた俺えらい。
とても良かった。非常に好みの作品。 物語的には恐ろしく淡々と展開していく。そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。ただただ「普通」の日常が続く。 でもそれが良い。現実なんてそんなもんだ。でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。そう思わされる。 他作品も是非読んでみたいところ
人に興味を示さない主人公が、ほんの少し変化してゆく話。 人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。 私がもっとも評価したい漫画の一つ。
映画から入って原作読んでみた。 映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。 清高と轟の関係がなんともいえず良い。 言葉を多く交わした訳ではない。お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。 それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。この二人のように。
こういうマンガに出会うとマンガ読んでてよかったってしみじみ思う。 まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。 みんな何かを抱えていて。 ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。 もう戻れないけれど大切な夏。 もう会えない大切な人。 そういうこと、少し思いだした。
今年映画化することを知り、読んでみました。 大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。 夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。 もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。映画化が楽しみです。
「夏を読むマンガはこれだ!」から。なんとも不思議な味わいの作品。明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。あれこれ説明のないのが妙に心地よい。 今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。まあ当然だけど。
ヤクザの車にはねられるというきっかけから、なぜか田舎の中学校の校舎を使った非公認教習所に通うことになった主人公の清高くんは、そこでヤクザになった昔の同級生轟木と再開する。そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。 登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。 この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。 ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。 僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
これは是非、北野武に映画化して欲しいです。 物凄く北野映画向きの作品だと思う。 救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。 キッズリターンを彷彿とさせる感じです。 2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。 スクリーンで見たい。
ある夏休み、免許が取れる確証のない教習所に何となく通う事になった飄々とした主人公と、そこで共に過ごした同じく飄々とした人々との日々の話。 朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。 切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。 実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。買っといた俺えらい。
今年映画化することを知り、読んでみました。 大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。 夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。 もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。映画化が楽しみです。
映画から入って原作読んでみた。 映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。 清高と轟の関係がなんともいえず良い。 言葉を多く交わした訳ではない。お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。 それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。この二人のように。
山と田んぼに囲まれた田舎の大学生・清高。田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。 どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。 ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。フリーハンドを多用した絵も味わい深い。この人のマンガもっと読みたい。
とても良かった。非常に好みの作品。 物語的には恐ろしく淡々と展開していく。そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。ただただ「普通」の日常が続く。 でもそれが良い。現実なんてそんなもんだ。でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。そう思わされる。 他作品も是非読んでみたいところ
これは是非、北野武に映画化して欲しいです。 物凄く北野映画向きの作品だと思う。 救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。 キッズリターンを彷彿とさせる感じです。 2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。 スクリーンで見たい。
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こういうマンガに出会うとマンガ読んでてよかったってしみじみ思う。 まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。 みんな何かを抱えていて。 ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。 もう戻れないけれど大切な夏。 もう会えない大切な人。 そういうこと、少し思いだした。
ヤクザの車にはねられるというきっかけから、なぜか田舎の中学校の校舎を使った非公認教習所に通うことになった主人公の清高くんは、そこでヤクザになった昔の同級生轟木と再開する。そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。 登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。 この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。 ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。 僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
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今年映画化することを知り、読んでみました。 大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。 夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。 もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。映画化が楽しみです。
こういうマンガに出会うとマンガ読んでてよかったってしみじみ思う。 まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。 みんな何かを抱えていて。 ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。 もう戻れないけれど大切な夏。 もう会えない大切な人。 そういうこと、少し思いだした。
人に興味を示さない主人公が、ほんの少し変化してゆく話。 人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。 私がもっとも評価したい漫画の一つ。
これは是非、北野武に映画化して欲しいです。 物凄く北野映画向きの作品だと思う。 救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。 キッズリターンを彷彿とさせる感じです。 2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。 スクリーンで見たい。
「夏を読むマンガはこれだ!」から。なんとも不思議な味わいの作品。明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。あれこれ説明のないのが妙に心地よい。 今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。まあ当然だけど。
ヤクザの車にはねられるというきっかけから、なぜか田舎の中学校の校舎を使った非公認教習所に通うことになった主人公の清高くんは、そこでヤクザになった昔の同級生轟木と再開する。そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。 登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。 この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。 ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。 僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
ある夏休み、免許が取れる確証のない教習所に何となく通う事になった飄々とした主人公と、そこで共に過ごした同じく飄々とした人々との日々の話。 朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。 切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。 実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。買っといた俺えらい。
山と田んぼに囲まれた田舎の大学生・清高。田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。 どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。 ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。フリーハンドを多用した絵も味わい深い。この人のマンガもっと読みたい。
これは是非、北野武に映画化して欲しいです。 物凄く北野映画向きの作品だと思う。 救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。 キッズリターンを彷彿とさせる感じです。 2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。 スクリーンで見たい。
人に興味を示さない主人公が、ほんの少し変化してゆく話。 人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。 私がもっとも評価したい漫画の一つ。
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ある夏休み、免許が取れる確証のない教習所に何となく通う事になった飄々とした主人公と、そこで共に過ごした同じく飄々とした人々との日々の話。 朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。 切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。 実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。買っといた俺えらい。
とても良かった。非常に好みの作品。 物語的には恐ろしく淡々と展開していく。そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。ただただ「普通」の日常が続く。 でもそれが良い。現実なんてそんなもんだ。でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。そう思わされる。 他作品も是非読んでみたいところ
ヤクザの車にはねられるというきっかけから、なぜか田舎の中学校の校舎を使った非公認教習所に通うことになった主人公の清高くんは、そこでヤクザになった昔の同級生轟木と再開する。そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。 登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。 この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。 ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。 僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
映画から入って原作読んでみた。 映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。 清高と轟の関係がなんともいえず良い。 言葉を多く交わした訳ではない。お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。 それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。この二人のように。
「夏を読むマンガはこれだ!」から。なんとも不思議な味わいの作品。明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。あれこれ説明のないのが妙に心地よい。 今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。まあ当然だけど。
こういうマンガに出会うとマンガ読んでてよかったってしみじみ思う。 まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。 みんな何かを抱えていて。 ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。 もう戻れないけれど大切な夏。 もう会えない大切な人。 そういうこと、少し思いだした。
コメント
この作品の「清高」もわりといいな。
全体を通して低いトーンで重い。
でも、何故か登場人物は全員マイペースで無表情で軽い。
田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。
轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。
奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。
どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。
さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。
ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。
巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。
フリーハンドを多用した絵も味わい深い。
この人のマンガもっと読みたい。
朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。
切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。
実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。
買っといた俺えらい。
非常に好みの作品。
物語的には恐ろしく淡々と展開していく。
そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。
あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。
ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。
ただただ「普通」の日常が続く。
でもそれが良い。
現実なんてそんなもんだ。
でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。
昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。
何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。
そう思わされる。
他作品も是非読んでみたいところ
人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。
キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。
誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。
私がもっとも評価したい漫画の一つ。
淡々とした登場人物。
ドライな空気感。
そしてユーモア。
そんな雰囲気に油断していると、突然現われるグッと来る場面。
やられました。
清高と轟木が散歩している場面が好き。
孤独から集団に寄生した轟木と、不遇でも奔放な清高の対比がよかった
映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。
清高と轟の関係がなんともいえず良い。
言葉を多く交わした訳ではない。
お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。
それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。
この二人のように。
そっかぁ、なるほど。
じんわりじんわり、来る。
いやしかし、表紙の二人は絶対に小学生の男の子と学校の用務員のおじさんだと疑わなかった。
ゴメンネ、轟木。
好きだよ、轟木。
真造圭伍作品が映画化していたことは初めて知った。
まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。
みんな何かを抱えていて。
ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。
もう戻れないけれど大切な夏。
もう会えない大切な人。
そういうこと、少し思いだした。
車に引かれても人間たくましいもんだ。
あと、何故友人がボスの家を破壊したのか良くわからんかった。
大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。
夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。
もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。
映画化が楽しみです。
・同級生に対するスタンスというか想いみたいなのは何か引っかかるものがあった
・でも何かはわからなくてでも突き詰めると苦しくなりそうだから放置
その初単行本!
素晴らしい友情ですね。
」から。
なんとも不思議な味わいの作品。
明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。
あれこれ説明のないのが妙に心地よい。
今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。
まあ当然だけど。
出てくる連中がほぼマトモでないのが素敵。
結構おもしろい。
熱湯みずふーせんをぶつけるシーンはこうふんした。
そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。
登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。
この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。
グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。
関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。
おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。
ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。
僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
物凄く北野映画向きの作品だと思う。
救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。
キッズリターンを彷彿とさせる感じです。
2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。
スクリーンで見たい。
淡々とした登場人物。
ドライな空気感。
そしてユーモア。
そんな雰囲気に油断していると、突然現われるグッと来る場面。
やられました。
清高と轟木が散歩している場面が好き。
そっかぁ、なるほど。
じんわりじんわり、来る。
いやしかし、表紙の二人は絶対に小学生の男の子と学校の用務員のおじさんだと疑わなかった。
ゴメンネ、轟木。
好きだよ、轟木。
朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。
切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。
実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。
買っといた俺えらい。
結構おもしろい。
熱湯みずふーせんをぶつけるシーンはこうふんした。
大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。
夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。
もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。
映画化が楽しみです。
映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。
清高と轟の関係がなんともいえず良い。
言葉を多く交わした訳ではない。
お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。
それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。
この二人のように。
車に引かれても人間たくましいもんだ。
あと、何故友人がボスの家を破壊したのか良くわからんかった。
田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。
轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。
奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。
どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。
さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。
ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。
巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。
フリーハンドを多用した絵も味わい深い。
この人のマンガもっと読みたい。
孤独から集団に寄生した轟木と、不遇でも奔放な清高の対比がよかった
非常に好みの作品。
物語的には恐ろしく淡々と展開していく。
そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。
あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。
ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。
ただただ「普通」の日常が続く。
でもそれが良い。
現実なんてそんなもんだ。
でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。
昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。
何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。
そう思わされる。
他作品も是非読んでみたいところ
物凄く北野映画向きの作品だと思う。
救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。
キッズリターンを彷彿とさせる感じです。
2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。
スクリーンで見たい。
」から。
なんとも不思議な味わいの作品。
明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。
あれこれ説明のないのが妙に心地よい。
今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。
まあ当然だけど。
真造圭伍作品が映画化していたことは初めて知った。
人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。
キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。
誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。
私がもっとも評価したい漫画の一つ。
まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。
みんな何かを抱えていて。
ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。
もう戻れないけれど大切な夏。
もう会えない大切な人。
そういうこと、少し思いだした。
その初単行本!
素晴らしい友情ですね。
そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。
登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。
この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。
グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。
関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。
おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。
ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。
僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
この作品の「清高」もわりといいな。
全体を通して低いトーンで重い。
でも、何故か登場人物は全員マイペースで無表情で軽い。
出てくる連中がほぼマトモでないのが素敵。
・同級生に対するスタンスというか想いみたいなのは何か引っかかるものがあった
・でも何かはわからなくてでも突き詰めると苦しくなりそうだから放置
出てくる連中がほぼマトモでないのが素敵。
淡々とした登場人物。
ドライな空気感。
そしてユーモア。
そんな雰囲気に油断していると、突然現われるグッと来る場面。
やられました。
清高と轟木が散歩している場面が好き。
非常に好みの作品。
物語的には恐ろしく淡々と展開していく。
そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。
あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。
ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。
ただただ「普通」の日常が続く。
でもそれが良い。
現実なんてそんなもんだ。
でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。
昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。
何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。
そう思わされる。
他作品も是非読んでみたいところ
映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。
清高と轟の関係がなんともいえず良い。
言葉を多く交わした訳ではない。
お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。
それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。
この二人のように。
田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。
轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。
奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。
どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。
さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。
ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。
巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。
フリーハンドを多用した絵も味わい深い。
この人のマンガもっと読みたい。
真造圭伍作品が映画化していたことは初めて知った。
・同級生に対するスタンスというか想いみたいなのは何か引っかかるものがあった
・でも何かはわからなくてでも突き詰めると苦しくなりそうだから放置
孤独から集団に寄生した轟木と、不遇でも奔放な清高の対比がよかった
大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。
夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。
もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。
映画化が楽しみです。
まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。
みんな何かを抱えていて。
ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。
もう戻れないけれど大切な夏。
もう会えない大切な人。
そういうこと、少し思いだした。
人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。
キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。
誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。
私がもっとも評価したい漫画の一つ。
この作品の「清高」もわりといいな。
結構おもしろい。
熱湯みずふーせんをぶつけるシーンはこうふんした。
車に引かれても人間たくましいもんだ。
あと、何故友人がボスの家を破壊したのか良くわからんかった。
全体を通して低いトーンで重い。
でも、何故か登場人物は全員マイペースで無表情で軽い。
物凄く北野映画向きの作品だと思う。
救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。
キッズリターンを彷彿とさせる感じです。
2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。
スクリーンで見たい。
」から。
なんとも不思議な味わいの作品。
明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。
あれこれ説明のないのが妙に心地よい。
今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。
まあ当然だけど。
そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。
登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。
この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。
グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。
関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。
おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。
ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。
僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。
切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。
実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。
買っといた俺えらい。
そっかぁ、なるほど。
じんわりじんわり、来る。
いやしかし、表紙の二人は絶対に小学生の男の子と学校の用務員のおじさんだと疑わなかった。
ゴメンネ、轟木。
好きだよ、轟木。
その初単行本!
素晴らしい友情ですね。
田んぼの中の真っ暗な道を自転車で走っていたところ、いきなり車に轢かれてしまう。
轢いたのは地元ヤクザの車、運転していたのは高校のときのもと同級生で中退・ヤクザ入りした轟木くん。
奇跡的に無傷だった清高は、なしくずし的に、「森山中教習所」というフシギな教習所で、運転の練習をすることになる。
どこまでもマイペースな清高と、一見物静かだが無表情に暴力を振るう一面を持つ轟木。
さいしょはかみ合わない2人だが、ユルくてアバウトな教習所の面々と過ごすひと夏のうちに、奇妙な友情が育まれていく。
ドタバタと愉快にすすむかと思えば、じょじょに影が忍びより、さっと嵐がきて、すっきり晴れる。
巧みなストーリーテリングは連作短編小説の味わい。
フリーハンドを多用した絵も味わい深い。
この人のマンガもっと読みたい。
物凄く北野映画向きの作品だと思う。
救いがないように進むのに、最後は救われるのがいい。
キッズリターンを彷彿とさせる感じです。
2020.7.7再読して改めてこれは北野武監督に映画化して欲しいと思った。
スクリーンで見たい。
人間に興味を持つことができない、世界になりつつあると思う。
キャラクターが重要視される人間関係は、トピックしか重要でない。
誰もがこの主人公のように、うわべを精一杯楽しむ、という方法でしか世の中を楽しめなくなっている世界から、じょじょに変化する姿は人に希望を与える。
私がもっとも評価したい漫画の一つ。
出てくる連中がほぼマトモでないのが素敵。
大学でゆるゆると学生生活を送る清高と、高校を中退してヤクザになった轟木。
夏の描写も相まって、ユルさに突っ込みつつも切ないです。
もうたぶん一生会えない、大切な友達と過ごした時間を閉じ込めていて、さらっと読めるのに静かな余韻の残る作品。
映画化が楽しみです。
全体を通して低いトーンで重い。
でも、何故か登場人物は全員マイペースで無表情で軽い。
結構おもしろい。
熱湯みずふーせんをぶつけるシーンはこうふんした。
朴訥とした絵で淡々と描かれる、何の緊張感もないが心の底に沈殿したものが少しだけ撹拌されてもわっと濁る様な作品。
切なさも面白も確実に存在しているけどそのどちらにも振らずに、その夏休みのフラットな空気のみを描いていて、大きく感情が揺さぶられる様な事はないのだけど、作品との距離がその位なのがとても好み。
実は何年もベッドサイドに積んであったんだけど今読んで良かった。
買っといた俺えらい。
淡々とした登場人物。
ドライな空気感。
そしてユーモア。
そんな雰囲気に油断していると、突然現われるグッと来る場面。
やられました。
清高と轟木が散歩している場面が好き。
真造圭伍作品が映画化していたことは初めて知った。
非常に好みの作品。
物語的には恐ろしく淡々と展開していく。
そして基本的に大きな事件や、はっきりとした起承転結は見られない。
あるのはひたすら普通でなんにも起きない「日常」が続くだけ。
ヤクザな轟木くんが足を洗ってカダギに戻る、とかそんなこともないし、清高の家庭が元通り幸せになる、ようなドラマチック展開は全くゼロ。
ただただ「普通」の日常が続く。
でもそれが良い。
現実なんてそんなもんだ。
でも最初から最後まで何も無い日常描いているからこそ何気ない一コマが心に染みる。
昨今流行りの「日常系」とは違い、本当の意味で「日常」を描いた作品だと思う。
何も無い日常でもそれが人生であり、それはそれで面白いものなのかもしれない。
そう思わされる。
他作品も是非読んでみたいところ
その初単行本!
素晴らしい友情ですね。
・同級生に対するスタンスというか想いみたいなのは何か引っかかるものがあった
・でも何かはわからなくてでも突き詰めると苦しくなりそうだから放置
そんな清高くんの免許を取る前の練習、取るまで、取った後を描く漫画。
登場人物の境遇はどちらかというと不幸なのに、なぜか漫画の雰囲気はのんびりしていて、読んでいて癒される感じ。
この漫画、実は私は読んでいて古谷実「グリーンヒル」を思い出した。
グリーンヒルは完全なギャグマンガだったので雰囲気は全然違うが、主人公の清高くんの無気力・マイペース・他人への無関心なキャラクターがグリーンヒルの関口となんとなくかぶるのだ。
関口くんも清高くんも女の人に憧れるがそちらはうまくいかず、すぐそばにいた自分が好きな平凡な女の子と最終的に付き合うのも似てる。
おそらくこの作者が意識しているしていないは分からないが、無意識にどこかで影響を受けたんではないかな。
ただこの作者の絵柄も含めた変なセンスが、グリーンヒルのせわしないギャグの応酬とは一風違う、南国のようなゆったりとした雰囲気を醸し出している。
僕はこのマンガ好きですが、万人に受けるものではないので無理にお勧めはしません。
映画がすごく好きだったんだけど、忠実に映像化されてたんだなー。
清高と轟の関係がなんともいえず良い。
言葉を多く交わした訳ではない。
お互いに生きててももう会うことはないかもしれない。
それでも共有したものが温かく、自分にとってかけがえないものであれば、確かにその相手は「友達」なのだ。
この二人のように。
」から。
なんとも不思議な味わいの作品。
明らかに自分がこれまで読んできたマンガの外にあるのに、細かい所の描写には少女マンガの機微に近いものを感じたりして。
あれこれ説明のないのが妙に心地よい。
今どきの若い人は、場の空気を読んだり、密に繋がったりしなくちゃならなくて大変だなあと、常々思っているのだが、こういうマンガが支持されてるってことは、そればっかりじゃないんだなと思った。
まあ当然だけど。
そっかぁ、なるほど。
じんわりじんわり、来る。
いやしかし、表紙の二人は絶対に小学生の男の子と学校の用務員のおじさんだと疑わなかった。
ゴメンネ、轟木。
好きだよ、轟木。
この作品の「清高」もわりといいな。
まっすぐであたたかくて、でもそれだけではなくて。
みんな何かを抱えていて。
ひとりひとりの人間がもつ間まできちんと描いていて。
もう戻れないけれど大切な夏。
もう会えない大切な人。
そういうこと、少し思いだした。
孤独から集団に寄生した轟木と、不遇でも奔放な清高の対比がよかった
車に引かれても人間たくましいもんだ。
あと、何故友人がボスの家を破壊したのか良くわからんかった。